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天邪鬼ロンリネス 02
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トボトボと重い足取りで教室に到着すると、既に1限目が始まっていた。
後ろのドアをゆっくりと開け、乾いた声で「スミマセン」と呟く。
「…体調は大丈夫なのか?」
席に着こうとすると、先生が教壇から訝しげに声を掛けた。
誰かが体調不良と伝えたのか、その割りに早く教室に戻ったからだ。
「…あ、はい。」
「中間テストの答案、取りに来い」
聡はハッとした。
そういえば今日の1限目は英語の授業だ。
答案用紙を受け取ると、席について点数を確認すると、目を見開いた。
(は…80点…!)
成美に教えてもらった甲斐もあり、自己ベストを叩き上げた。
赤点は逃れそうと思っていたが、ここまで高得点とは思っていなかった。
いち早く、成美に伝えたかった。
聡は制服のポケットに突っ込んだ電源の入らない携帯をもどかしそうに弄る。
昼、成美はやってくるだろうか。
テストの結果を知ったら、喜んでくれるだろうか。
期待と不安が膨らみ、授業の内容も入らないまま1限目が終わり、次の授業も早々に過ぎていった。
昼になると、聡は弁当と戻ってきたテストの答案用紙を持って教室を出る。
高揚する気持ちが、歩く速度を加速させた。
体育館裏に着くと、男子学生の上履きが視界に入る。
(き、来てた!)
もしかすると居ないかもしれないという不安が消え、聡は小走りで近寄った。
成美とだったら、話し合って仲違いも解消できるかもしれない。
希望が胸でイッパイになった。
「神崎!」
まだ顔が見えていない内に、聡は呼び掛けた。
立ち上がるような仕草が垣間見れ、聡はズボンのポケットにしまった答案用紙を取り出し、笑顔を向けた。
「今日の英語…の…」
相手の顔が見えた時、聡は驚きで持っていた弁当を落としてしまった。
そこに居たのは成美では無かったからだ。
「や…八木…くん…?」
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