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小泉叶多が全寮制のこの高校に転入したのは二年の春。
私立桐ヶ丘学園は……資産家の子息ばかりが通う名門で、学費もかなり高いらしいが叶多の家は金持じゃ無い。
むしろ……援助を受けねば暮らせない位日々の暮らしは逼迫(ひっぱく)していた。
高校を止めて働こうと考えていた叶多の前に、救いの手が差し出されたのは一年生の三学期で……。
―――本当に、感謝してる。
こうして叶多が通えるのは、この学園の理事長のお陰だと母が言っていた。
『情の深い人なのよ』
とベッドの上で微笑んだ母は、病魔に侵されもう長い事病院に入院している。
―――しかも、学費に加えて医療費まで……。
理事長は、今は亡き父の親友だったという話だが、叶多には会った記憶が無い。
いつか会えたらちゃんと礼を告げたいとは思っているが、グループ企業の総帥であり、多忙な彼を見た事は……転入してから一度も無かった。
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