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「……瞬、とりあえず行ってみるよ」
部屋まで迎えを寄越されてはもう行くしか無いと諦めて、叶多がそう瞬に告げると、苦い表情になった彼が真っ直ぐこちらを見詰めて来る。
「戻ったら、ゆっくり話そう」
「うん、分かった。じゃあ……行って来るね」
笑みを浮かべて答えながらも叶多は内心、きっとこの先に良い展開は待っていないと、確信めいた予感を持った。
流石にそれを感じない程、良い環境では育っていない。
―――大丈夫、時間が過つのを待てばいい。
いつも唱えていた言葉。
此処に転入して来てからは、忘れたように楽しく過ごしていたけれど……以前は良く心の中で何度も何度も繰り返していた。
生徒会が何で自分を呼び出すのかは分からないが、どんな内容であるにせよ、瞬を信じて答えればいい。
後は時間さえ過ぎ去れば、いずれ必ず解放される。
―――そう、いつだって僕は……。
そうやって、繋いで来た。
「待たせてしまってすみません」
「いいですよ。仕事ですから」
開けた扉の向こうには、叶多より少しだけ背の高い細身の学生が立っていて……淡々と話すその様子に、綺麗だけれどどこか冷たい印象を叶多は受けた。
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