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―――でも、言っても無駄だ。
今までの経験上、ここで叶多が何を言っても取り合ってなど貰えない。
わざわざ自分の事を調べて、勝手な理屈を並べる彼を不条理だとは思うけど……ここは下手に言い返すより、黙ってやり過ごした方が得策と考えた。
「親子揃って淫売なんて……最低だな」
「……」
蔑むような須賀の言葉に、爪の痕が残る位拳を強く握り込んだ。
口では酷く罵りながらも口調はかなり淡々としていて、その温度差に叶多の中の恐怖心が煽られる。
「気に入らないな」
暫し沈黙が流れた後、須賀の良く響く低めの声が叶多の鼓膜を震わせて……つられるように顔を上げると感情の読み取れない双眸と視線が絡む。
『何が?』
と聞きたかったが、これほど直接的な悪意を初対面で受けた記憶は流石に今まで一度も無く……悪い事などしていないのに、重い空気に耐えられなくなり叶多は思わず顔を背けた。
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