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―――ちょっとだけ……話を聞いてから行こう。
呼び出しには直ぐ応じるというルールは分かっているけれど……何故、こんなタイミングで電話が掛かって来るのだろう?
張り詰めていた糸が緩み始め、
『もしかしたら、来ないんじゃないか?』
と、淡い期待を抱き始めた叶多の心を見透かしたような呼び出しに……応じたく無い思いが強まり、結局電話に出ないという選択肢を選んでしまった。
少しくらい遅れても、気付かなかったと言い訳すれば良いだろうと、浅はかにも思ってしまった。
「ここだよ、入って」
三階の一番奥……生物室のドアを空けながら、岩崎が手招きする。
「うん」
彼の爽やかな笑顔につられ、久々に笑みを浮かべた叶多が先に教室に入った途端、思いもよらず強い衝撃が背後から不意に襲って来て……。
「っ!!」
「馬鹿じゃねーの?」
「……えっ?」
前のめりに倒れ込んだ叶多に浴びせられたのは……紛れもない悪意を持った、まるで別人の声だった。
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