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「……煙草押し付けた痕じゃね?」
痛々しいその傷痕は、決して一つだけじゃない。
大分薄くなってはいるが、真っ白な肌に付けられた痕は目を引くには十分で……。
「随分と、えげつない扱い受けて来たみたいだね。痛かった?」
「触……るなっ」
指がゆっくり鎖骨をなぞり、ゾワリと背筋を悪寒が走る。
誰にも見せたく無かった痕を暴かれた事に絶望するが、この先自分を襲う仕打ちはきっと遥かに絶望的だ。
煙草を押しつけられた当時は、これより悪い事は起こらないと思って何とか耐えて見せた。
だけど……現実は、想像よりもずっと残酷と思い知った。
―――早く、早く……。
時間が流れてしまえばいい。
「こっちにも痕が付いてるね。これは……何かで打たれた痕かな?」
「……貴方には……関係無い」
「強気だねぇ……でも、それがいつまで続くかな?」
脇腹辺りに指を這わされ身を捩りながら睨み返すと、余裕ありげな笑みを浮かべた男の指が一旦離れる。
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