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―――なんとか……部屋まで。
急に激しい動悸に襲われ視界が段々歪んで来て……真ん中を丸くくり抜いたように白い霞がかかってくる。
途中……すれ違いざまに何人かの生徒が見ていた気がするが、それも気にならない位、意識を保つのに必死だった。
―――もう少し……。
どうにか部屋へと戻った叶多は、真っ直ぐ自室のドアを開く。
その時には……須賀が居るのか居ないのかさえ考える事が出来なかった。
「ぐっ……んうぅ」
吐き気が込み上げて来る。
それを必死に堪えながら、叶多は床に置かれたタオルを手に掴んで蹲った。
叶多の部屋は8畳程で、窓も無ければベット等の寝具も無い。
最初に荷物を運んで来た生徒に尋ねてみたものの、
「必要無いと言われてます」
と素気なくあしらわれてしまい、仕方ないから床に大判のタオルを敷いて、包まるように眠っていた。
―――起きなきゃ……はやく、出ていかなきゃ。
急がなければ、今すぐにでも何が起こるか分からない。
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