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今が何時か分からないが、須賀が出掛けるという事はもう朝になってしまったのだろうか?
「……わかりました」
溜息交じりの声が聞こえ、同時に叶多の身体にかかった須賀の重みが消え去った。
ホッと小さく息を吐くと、突然口を無理矢理開かれ硬い何かを押し込まれ……頭の後ろに回った何かがカチリと冷たい音を立てる。
「んっ、んぅ」
「いいか、お前も余計な事を喋るなよ」
「分かってます」
息苦しさに呻く叶多の頭上で二人の声が聞こえ、これは自分の口を塞ぐ為にされのだと理解した。
何かを話す権利は一切、叶多には与えられないらしい。
―――でも……。
だけど……長く過酷な須賀との時間がようやく終わった事の方が、今の叶多には有り難かった。
―――これで、ようやく……。
「行って来る」
「帰りは?」
「夜には戻る。これはソレの鍵だから、食事の時だけ取ってやれ。お前は用が済んだら学校に行っていい。ソイツは……どうせ立てないだろうから、そこに転がしておけ」
「了解」
言葉が終わるか終らないかでドアの開閉が聞こえて来たから、この部屋には……知らない誰かと自分の二人だけという事になる。
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