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だから……部屋の中に残されたのは、相変わらず表情の全く読めない須賀と、ようやく意識がはっきりしてきた叶多の二人だけとなった。
「逃げられなくて残念だったな」
抑揚の無い低い声。
答えられずに視線を逸らすと、顎を取られて無理矢理視線を合わせるように固定された。
「逃げて、何処に行くつもりだった?」
薄く笑みを浮かべた顔が至近距離に近付いて来る。
どう答えてもきっと駄目だと悟った叶多が黙っていると、そのまま須賀がキスして来たから驚きの余り目を見開いた。
「っ!!」
「そんなにビクつくな。今は何もしない」
軽く触れ合うだけの接合にも疑心暗鬼になってしまうのは、今まで彼から受けた仕打ちが余りに酷い物だったから。
「……答えろ。逃げて、どうするつもりだった」
さっきより強い声音で聞かれ、叶多の中に渦巻いたのは戸惑いよりも憤りだった。
―――何も言うなって……黙って従えって、言ったじゃないか。
聞いて欲しかった言葉は全て、切り捨て無視して来た癖に……今になって理由を話せと傲然と言い放つ。
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