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どうせ何と答えた所で、また自分を弄ぶる為の口実にしたいだけなのだと……分かっているから黙っていると、目の前にある薄い唇が口角を綺麗に上げた。
「どうした?声も出せないのか?」
喉で笑う音がする。
馬鹿にしたようなその微笑みに喉まで言葉がせり上がるが、どうしても声にする事が出来ず叶多は唾を飲み込んだ。
「どうせ、御園の所に駆け込むつもりだったんだろ?泣きついて、アイツに許しでも請うつもりだったのか?」
―――そんな事、出来る筈無い。僕は……唯に会う資格が無い。
「逃げた所で他にお前が行ける場所なんか……」
「……っ!」
須賀がそこまで言った所で、どうしても我慢出来なくなった。
事情を知りもしない癖に何でも知ってるつもりになって、自分勝手な憶測だけで人を勝手に振り回す。そんな彼が許せなくて、叶多は自分の耳を塞いだ。
―――きっと、怒る。
分かっていても、制御する事が出来なかった。
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