アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
咄嗟に身体を隠そうとして身動ぎをした叶多の耳に、次の瞬間入って来たのは信じられない言葉だった。
「脚、開けよ」
命じる事に慣れた口調に身体の動きがピタリと止まる。
「……え?」
思わず須賀を仰ぎ見ると、整った顔は相も変わらず酷薄な笑みを浮かべていた。
―――どうして?さっき、何もしないって……。
言った癖にと叶多は思うが、どうせ口にしてみた所で『気が変わった』と言われるだけだ。
「逃げた罰だ。脚開いて、それらしく俺を誘ってみろ。上手く出来たら今回は許してやってもいい。それ位、お前には簡単だろ?」
鎖骨の辺りの火傷の跡を長い指先が辿っていき、そのまま胸の小さな尖りを確かめるように潰されて……気持ち悪さと怒りが込み上げ、叶多は思わず須賀の掌をパシリと叩いて振り払った。
「嫌……です」
喋れば喉が酷く痛い。想像以上に掠れた声に発した自分が驚いたが……同時に叶多の胸の中には後悔の念が押し寄せた。
―――まずい、こんな事したら……。
「分かった」
冷たい声音でそう答えながら見下ろしてくる須賀の表情に、自制が利かなかった自分を悔いるけれど、もう遅い。
「覚悟は、出来てるんだな?」
口角を更に上げて微笑んだ彼の瞳に宿った怒気に、叶多は気圧され後ずさるけど、逃げ場なんてどこにもないと心の奥では分かっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
111 / 552