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たった今、須賀から届いたメールには、
“理事長が見舞う"
とだけ簡潔に書かれていた。
おおかた叶多は風邪を引いて、寝込んでるとでも言ったのだろう。
結果……自分のした行為が須賀にバレる事は無くなった。
今後の事を考えれば、今回はかなり運が良いと言えるだろう。
「もし、目が覚めたら……キミは助けを求められる?」
理事長は須賀の父親で、調べによれば叶多の学費や、母親の医療費までを出している……いわば、彼にとっての恩人だ。
そんな相手に息子が犯した不祥事を……ましてや性的な物を含む内容を、訴える事が出来るようには伊東にはとても思えない。
―――それに、須賀は……。
「ごめんな」
荒い息を繰り返している叶多の髪を軽く撫で、聞こえて来た呼び鈴の音に踵を返すと伊東は静かに寝室から立ち去った。
***
「では、私はここで」
久々に来た教室の前、数歩前を歩く射矢が立ち止まって振り返る。
「はい。ありがとうございました」
一緒に登校して欲しいなんて頼んだ訳ではないけれど、それでも叶多が礼を告げると、射矢は僅かに眉根を寄せて「仕事なので」と返事をしてから足早に立ち去った。
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