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―――嫌々此処に居ますって顔だな。
表情らしい表情は浮かんでなどいないけど、僅かながら眉間に皺が寄っているのが見て取れた。
当たり前だ。酷い目に合わせている自覚位はちゃんとある。
ただ悠哉自身……叶多と接する度に湧き上がる憤りに似た強い感情の理由までには思いが至らず、その事にすら気付けて無いから更に質が悪かった。
「失礼します」
暫し横顔を眺めていると、ドアが開いて伊東の声が聞こえて来る。
「連れてきました」
いつもより少し硬い声音に悠哉が視線を前に移すと、伊東の隣に立つ人物が、睨むようにこちらを見ていた。
「……久世さん」
珍しく、射矢が小さく驚いたような声を出す。
その声に……弾かれたように叶多が顔を上げたのが分かり、悠哉は何故か胸の奥底が、チクリと痛んだような気がした。
「言われた通り連れて来ましたけど、どうします?入れますか?」
「入れろ」
尋ねて来る伊東を見遣って悠哉がそう返事をすると、頷いた彼がドアを開いて外の人物に声を掛け……少しすると一人の生徒が室内へと入って来る。
「佐野さんっ」
今度は椎葉が声を上げた。
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