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「淫乱」
「ひっ……あうぅ!!」
罵る声に反論出来る思考力さえ、もはや残っていなかった。
だが、空中を彷徨う腕は決して須賀に縋り付いたりしない。未知の快楽を植え付けられ、理性など既に消えてしまっても、自分から人に触れる事だけは身体が自然に拒否していた。
「覚えておけ……お前は俺の駒だ」
「……こ…ま?」
追い詰められ、快楽の波に呑み込まれてしまった叶多は、首を少し傾けながら須賀に真っ直ぐ視線を向ける。
「そうだ。こうやって素直にしてれば、少しは可愛がってやる」
それに端的に答えた須賀は、動きを止めると焦点のあまり定まっていない虚ろな瞳を覗き込み、僅かながらに口を歪めるとその唇にキスをした。
「んっ……くうっ」
舌を絡めて唾液を送るとコクリと喉を鳴らして飲み込み、腰を拙く動かし始める。
その淫靡さに煽られ下から何度も激しく胎内(なか)を穿つと、余程気持ちが悦いのだろう……快楽を表すように細い体が悶え震えた。
―――これでいい。コイツが……。
全て叶多が悪いのだ。
―――あんな目を、してるから。
だから、見る度苛立ちばかりが募った。放っておけばいいと言われても、どういう訳か歯止めが全く利かなくて……。
だけど、気に入らなかった目付きも態度も叩き壊した筈なのに、胸の奥が鈍く痛みを覚える理由が、今の須賀には分からなかった。
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