アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
64
-
「おはよう……ございます。えっと……」
「俺が運んだ。ありがとうは?」
「あ、ありがとうございます。あの……」
「はい、これ食べな」
「……え?」
目の前にスッとゼリー飲料が差し出され、叶多が少し固まっていると、蓋を開けた佐野が再度それをこちらへと向けてくる。
「でも、僕、あまり……」
「食べなきゃ、保たないだろ」
食欲が無いと言い出す前に、柔らかい声音で言われて心臓が少し脈を速めた。
“保たない”という彼の言葉から、須賀の姿を思い出し……身体をブルリと震わせる。
「……ありがとう」
受け取って少し口に含むと、さっぱりとしたグレープフルーツの酸味と甘みが広がった。
「よし、イイ子だ」
微笑んだ佐野に頭を軽く撫でられて、どうすればいいか分からず叶多は視線をウロウロ彷徨わせる。
「もう放課後だから誰もいない。そんなに警戒しなくても平気だって……って言っても直ぐには信じられないだろうけど」
「……」
当然だ。と、叶多は思う。
今までの経緯からみても、佐野の事を信用できる要素はまるで見当たら無いし、ガードに指名された時にしてもかなり不満そうだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
163 / 552