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「気持ち悪い事を言うな」
「あれ、違った?だったらゴメンな」
「もういい、行け」
「はいはい、分かりましたよ。会長」
苛立ったような須賀の言葉に肩を竦めてそう答えると、佐野はチラリと叶多を見てからドアの向こうへと姿を消した。
残された叶多はと言えば、顔を上げる事も出来ずに俯いたままで震えている。
「帰るぞ」
「っ!!」
突然手首をグイッと掴まれ身体がビクッと大きく跳ねた。
「立て」
降って来た低く威圧感のある声に慌てて立ち上がると、叶多は机の横に掛けてある鞄を片手を伸ばして掴む。
彼を待たせたり苛立たせるのは自分の為にならないと……昨日までの二日間で更に体の奥まで染み付いていた。
「行くぞ」
「ぁっ」
強い力に手を引かれ、叶多はフラフラ歩き出す。
睡眠が摂れたお陰で身体は朝より大分楽にはなったが、須賀と一緒に居るというだけで緊張のあまり目眩がした。
―――どうして?
今まで一度も叶多を迎えに来た事なんて無かったのに、何故突然こんな行動に出たのか分からず不安になる。
いつも……彼が目の前に現れる時は悪い事しか起こらないから、疑心暗鬼になってしまうのも仕方の無い事だった。
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