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須賀に「特別扱い」だと昨日言われてしまっただけに、自分一人が決まりを破る事にかなりの抵抗がある。
母親の事は心配だけれど見舞う前に主治医と話し、急変が絶対無いとは言えないまでも、今のままなら当分は大丈夫と言われていた。
それも、真実かどうか分からないと思うほどに、母は衰弱していたけれど……。
「君は、聡いね」
「え?」
横から頭を撫でられたけれど、嫌な感じはしなかった。
「一緒に夕飯を食べて帰ろう。君に話しておきたい事がある」
「はい」
断る理由も権利も無いと思った叶多が答えると、満面の笑みを浮かべた彼は
「良かった。断られたらどうしようと思ってた」
と、片目を閉じて告げて来る。
大財閥のトップなのにも関わらず、偉ぶった所のまるで見えない須賀の父親に驚きながら、叶多はまだ須賀の事を話すべきかを迷っていた。
迷う理由など無い事は、頭の中では十分過ぎる程に理解していたのだが、何かが胸の奥の方で刺のように閊(つか)えていた。
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