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『あの、学校で……』
ーーーだけど、もし……。
彼の言葉が嘘だったら?
昨日須賀は『好きに動いてみればいい』と、余裕ありげに言っていた。
目の前に座る彼の父には今日初めて会ったけれど、紳士的で優しくて、叶多の事を考えてくれているようにしか見なかった。
だがここに来て……いざ話そうと思った所で、急に色んな不安が胸の奥から溢れ出して来る。
―――この人が、全部知ってたら?
考えてみればその可能性も十分に存在する。
従者の制度は100年近く続いていると聞いているし、ならば須賀の父親も、学生時代はきっと制度を使う立場だったろう。
須賀が自分を従者にしたと告げた時点で、叶多の今の扱いを分かっていても不思議じゃない。
そして何より、どんなに優しい顔をしていても、表面だけでは分からない事を叶多は既に知っていた。
『……嫌な事は、無いです』
それだけどうにか絞り出すと、口角を上げて笑みを作り、『大丈夫です』と付け加えてから目の前にあったケーキを食べた。
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