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母親の入院する病院で会って以来、須賀の父とは会っていないが、後見人の彼をあんまり失望させたくなかったから、こうして毎日佐野と図書室で放課後になると勉強していた。
「あの、ありがとう」
「いいよ、これが俺の仕事だから」
今まで中々言えずにいたが、きちんと礼を言わなければと叶多が頭を下げて告げると、微笑を浮かべた彼が雑誌を閉じてそれに答える。
「行くぞ」
苛立ったような須賀の声に弾かれたように視線を向けると、行ってしまったと思っていたのにドアの所に立っていた。
「あっ、はい」
「早く行きな」と促す佐野に、小さく頷き返した叶多は急いで須賀の方へと向かう。
相変わらず無口な須賀に怯える気持ちは変わらずあるが、最近は……どこかが麻痺でもしたかのように隣に居ても震えなくなった。
下校中も部屋に戻っても会話らしい会話は無い。
須賀は部屋へと戻っても……忙しいのか一時間程でどこかへ行ってしまうから、叶多は一人で勉強をして、迎えに来る佐野と共に食堂に行くのが常だった。
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