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以前、学級委員長だった岩崎について行ってしまった時、受けた仕打ちを思い出せば、これが何かの罠じゃないと信じられる保証は無い。
「あまり時間がありません。早く」
「あっ」
手を引かれ、反射的に解こうとすると、更に強い力を込められバランスを崩し前のめりになる。
足を踏み出してどうにか転ぶのだけは避けたが、靴もきちんと履けていないまま部屋から廊下に出た叶多は……一気に不安な気持ちになって身体をカタカタ震わせた。
「急いで下さい」
それを気にする様子も見せずに階段へ向かい歩く射矢の、片方の耳にイヤホンのような物が入っているのが見える。
「あの、何処へ?」
「安全な所です。エレベーターだと止められたら終りですので、少し歩いて貰います」
非常階段は叶多が以前逃げ出した時に使用したが、あれ以来……この階だけは、鍵が掛けられている筈だ。
「一体……何が?」
「それは、後で話しますから」
何時も冷静な射矢が何処か焦ってるように見えてしまい、それ以上は声を掛けられず叶多は黙って彼に続いた。
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