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非常階段を下り学園と反対方向へと歩き、少し進んだ先に見えたのは、煉瓦造りで重厚そうな二階建ての建物だった。
建物自体の規模としては、一般住宅より大きいが、屋敷と言うにはこじんまりとした印象を叶多は受ける。
「これは……」
「この付近で大規模な電波障害が起きています」
「え?」
「入ってください」
その建物が何なのかすら告げる事なく入るようにと促され……以前のような状況になるんじゃないかと思った叶多の脚は自然と止まってしまう。
「で、でも、何で?」
「会長と直接連絡が取れない以上、安全な場所に連れて行くのが私の仕事です。中には誰も居ないので、騒動が治まるまでこの中に入っててください」
情けなく震える姿を憐れむように振り返りながら、ようやく腕を離した射矢がそう叶多に告げて来た。
「そんな、意味が分からない」
電波障害と安全がどう関係あるのかも……騒動が何なのかも分からずそう問い掛けるけれど、
「話は後で会長から聞いて下さい」
と、無表情に告げて来るから、不安は更に大きくなる。
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