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「分かった、分かったから」
頭を抱えて小さく呟く叶多の背中をさすりながら、言ってはいけない事を言ってしまったのだと後悔する。
ーーーでも……。
多分、これ以上の話を彼から今聞くのは困難だが、瞬が一番知りたいことは叶多の口からきちんと聞けた。
あとは、どうやって彼を今置かれている環境から解放するかだ。
「圭吾は、もう少しだけ見守ろうって言ってたけど……」
叶多が壊れてしまう前に、然るべき措置を取らなければ、後悔してもしきれない。
「叶多、俺はずっと友達だから……だから、もうちょっとだけ……」
聞こえているかは分からないけど、そっと耳元で囁くと……震えが僅かに小さくなって、叶多がコクリと頷いた。
***
父親の葬儀の後、一人で生活をしてみて初めて自分の学費の高さを知り、どうしようかと悩み続けて二ヶ月程が経過した頃、御園の父に呼び出された。
『残念だけど、君のお父さんには、負債しか残って無いんだ』
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