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叶多が迷っている内に、その日はとうとう明日に迫った。
「叶多は夏休み中、ずっと寮にいるの?」
「分からないけど、多分」
ここまで来ても分からないから、曖昧にしか答えられない。
すると、目の前に座る瞬は少し困ったように微笑みながら、
「やっぱりあの時、須賀にちゃんと言っとくんだった」
と、独り言のように呟いた。
「瞬は何処か行くの?」
「うーん、実家に顔を出さなきゃだけど、叶多がいるならなるべく早めに戻ってくる」
「いいよ、僕の事は気にしないで」
瞬には小さな妹と、中学生の弟がいると以前叶多は聞いていた。
弟は生意気だけど、妹が可愛いのだと良く話してくれていたから、帰省すればきっと暖かい家族に迎えてもらえるのだろう。
「叶多ぁ、そこは嘘でも嬉しいって言わなきゃダメだよ。俺が寂しいだろ」
ガシリと肩に腕を回されて、冗談っぽく告げられたから、そういうものかと思った叶多が
「ごめん」
と素直に謝ると、急に真顔になった瞬が、
「最近須賀とはどう?酷い事されてない?」
と、顔を寄せて小さな声で聞いて来た。
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