アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
72
-
だからーーー
「おいで」
と唯人に命令されれば、戻りたくないと思っているのに、矛盾している心を無視して身体が勝手に動いてしまう。
「悠哉、お前……本気で守る気無かっただろう」
呆れたような佐野の声が、どこか遠くから響いてくるが、久々に会えた唯人の顔しか叶多には見えていなかった。
***
終業式が終わった後……叶多の母の見舞いに行くのに、父親が行けないからと須賀が一緒についてきた。
聞けば、叶多自身は気づかなかったが、校外に出掛ける時には常に数人の護衛がついているらしい。
「今日、見舞いの後……迎えに来るんだろう?」
そして……病院に向かう車の中で須賀が放ったその一言に、知られているとは思いも寄らずにいたから叶多は驚いた。
「あ、それは……」
「別に怒ってる訳じゃないから……震えるな」
肩に回された腕に身体を強い力で引き寄せられ、そう耳元で彼に告げられても、信じられなくて叶多は華奢な身体をビクリと強ばらせる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
274 / 552