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「行きたければ、行けばいい」
「な……んで?」
勇気を出した問いかけに、答える言葉は無かったけれど、代わりに須賀が顎を掴んで唇にキスを落としてきた。
ーーーどうして?
常ならば……知られてしまった時点で酷い仕打ちを受けていた筈だ。これまで須賀は事ある毎に、何か理由を付けては叶多を弄って来たのだから。
「傷、これ以上増やすなよ」
どこか優しげに響く声。
何故今頃になって急にと叶多は不思議に思うけど、やはり言葉は喉に貼り付いて音にする事は出来なかった。
少し優しくされた位で彼への恐怖は薄まらない。
もしかしたら、これも何かの罠ではないかと思えて来るが、ここ数日の彼を思い出すと、胸の奥底が鈍く痛んだ。
一緒に起きて、食事をして、学校へ行って……帰りには、生徒会での仕事を少し手伝うようになっていた。
部屋に戻ればソファーに座り、一緒にテレビや映画を見た。
その間、一切の性行為を彼は強要しなかった。
ーーーでも……。
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