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「唯……痛い」
弱々しくそう叶多が告げれば少し力は弱まるけれど、拘束自体は解かれない。そればかりか……空いている手で叶多の背中を抱き込むと、そのまま覆い被さるようにベッドの上へと押し倒してきた。
「これでも俺、怒ってるんだよ」
静かな部屋に凛と響く冷たい色を帯びた声。
唯人が怒っている所など、目にした記憶は一度も無いから、心拍数が一気に上がり、その理由も分からないから叶多は消え入りそうな声で、
「なんで?」
と彼に問い掛けた。
「俺なんかに言う必要……無いって思った?叶多が突然居なくなって、俺がどれだけ心配したか分かる?」
「あーーー」
失念ていた訳ではないが、自分なんかがそこまで彼に心配される存在だとは全く思ってなかった。
それに、様々な事が重なる中で、唯人とは二度と会えないとーーーそれが唯人の為であると、勝手に思い込んでいた。
「ごめん、唯……」
転校してから連絡手段を無くしてしまったせいもあるが、あった所で自ら連絡するなんて事はしなかっただろう。
だから……言い分け出来ない立場の叶多は、素直に彼へと謝罪した。
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