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猫と、早起き。
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ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…
「んん…うっさ…」
ピピピピ…ピピガチャッ
「はわぁ…ねみ………」
でかいあくびをして起きる。
時刻は午前7時半。
あれ?何でオレいつもより30分も早く……ん?そういえばあいつ…いない…
オレは飛び上がって、リビングまでダッシュした。
ガチャッ!!
「憂心!?」
「…………ん」
ん?なんだ?あ、こいつ……
扉を開けたらそこには、リビングの机に突っ伏して寝てる憂心が居た。しかも、朝食と弁当まで準備してある…
「ふっ…ばかめ…」
とりあえず憂心に布団をかけた。
飯食ったら起こすか。
朝からこんなうまい飯を食べるのは本当に久しぶりだ。
とりあえず急いで食べて、急いで身支度を整えた。
その間、憂心は起きなかった。
相当疲れて居たんだろうか。
「憂心…憂心、起きろ…」
揺さぶってみたら、やっと目が覚めたみたいだ。
「んん…?」
「おはよ。」
「ふぁあ…え…?おれ…寝て…?」
「ぐっすり寝てたから結構寝かせてたけど。学校何時からだ?」
「そうですか…あ、2限からなのでいつでも大丈夫です…」
自分は2限からのくせに、飯作るためだけに早く起きたのか…?
「そっかそっか、朝飯と弁当ありがとな。まさか本当に作ってくれるとは思ってなかった…」
「そんな…おれはちゃんと約束守りますよ」
「ははっ、ところで今日何時に起きたんだ?」
「えっと…5時くらい…??」
「は?…そ、そんなに早起きしなくても良いぞ…?」
「そうですか?」
「オレは基本起きるの8時だし…」
「あ、そうなんですね!わかりました!」
「うん。あんまり無理はするな?」
「無理なんてしてないです!おれ、料理とか好きだし。早起きも嫌いじゃないです。」
そんな和かに言われるともうなにも言えなくなる。
「そっか……ん?今何時?」
「8時です。」
「あ、全然余裕だったわ」
いつもより早く起きたの忘れてた。
「何時に出るんですか?」
「んー、あと30分後くらい。」
「まだ結構ありますね…」
「お前もなんか準備…は無いか。なんもないもんな。」
「はい…へへっ」
またそうやって自分を軽蔑したみたいに笑う…
「…そうやって笑うのはやめよう」
「え……?」
「辛いならそう言えば良いし、泣きたい時は泣けばいい。そういう悲しそうな笑顔を見ると、オレまで悲しくなる…」
告白したやつのことでも考えてるんだろうか、その度にこいつは泣きそうな笑顔を見せる。そんな顔を見ると、オレの心臓が苦しくなって、関係ないはずなのに切なくなる。
「はい…」
「ここで、我慢なんてしなくていいよ。オレも我慢しないし、素直に生きたいんだ。それに、憂心の綺麗な顔がもったいないぞっ」
「え、ありがとう…ござい、ます…」
「うん……」
そう言った途端、憂心は泣きはじめた。ほんとはずっと我慢してたんだろう…溢れ出す涙が、そう訴えかけていた。
「…っ………うっ……ズズッ……」
「よしよし、お前はよく頑張ってるよ…」
そっとティッシュを置いて頭を撫でる。まるで大きい子供だな…
「ううっ…………………あの。」
「ん?」
「洗面所借ります…」
「ああ、うん…」
大丈夫かあいつ…
それから少しして、憂心は戻ってきた。
目がちょっと赤いだけで、表情はいつもの顔に元通り。顔洗って来たのかな。
「泣いたら、少しすっきりしました。」
「そっか。」
「もう、行きましょうか」
「そうだな。」
これが空元気じゃなきゃ良いんだけど。
「これお弁当です。ほんとにあり合わせなので不味かったらすみません…」
「良いよ別に、オレ気にしないからそういうの。作ってくれただけで感謝してる。」
「へへっ」
うん、こいつはこういう照れ笑いみたいな笑顔の方が良い。
オレも自然と口角が上がる。
「じゃあ車乗るか、駐車場こっち」
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