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待ちに待った昼休みがやってきた。
今までは昼休みなんてあってもなくても関係なかったけど、憂心の弁当が楽しみで楽しみで。
この会社にはご飯を食べるスペースが結構ある、食堂とかオフィスとか、休憩スペースだとか。でもひとつ変わったところがあって、それはすごく綺麗な屋上。ここだけカフェみたいな雰囲気を醸し出している。今は冬だからあまり人はいないけど、春とか秋とか、自然が綺麗な時期は最高な景色を見ることができる。
と言ってもオレは寒がりだから、普段はオフィスで適当に食べているわけだが、何故今日に限って来たかというと、憂心兄がここに来たからだ……うぅ、寒い。
憂心兄は加瀬という社員の男の子と凄まじく仲の良さそうな雰囲気で、そこらじゅうにハートを飛ばしている気がするのはオレだけだろうか……………あっ、お弁当お弁当!
ん?なんか紙切れが入ってる…
"全部は食べなくて良いですよ"
なんだこれ…気い使ってるのか?別に全部食べるけどな。
家にお弁当箱なんてなかったからか、中くらいの大きさのタッパーふたつ。ひとつが米で、オカズの方はレタスを引いてあって、その上に生姜焼きと、モヤシのナムルとポテトサラダみたいなのがあって、よくあれだけしかない食材でここまで作れたなあと感心するしかない。
「うまっ…」
それはもう声に出してしまうほどにうまいし。あいつがいたら嫁いらずだな…まあどうせできないけど。
なんてちょっとブルーになるのは斜め前で繰り広げられる憂心兄と加瀬のいちゃいちゃした声がここまで聞こえてくるからだ。
もうこれは付き合ってるで確定だな、加瀬の頬は妙に赤いし、憂心兄の顔だっていつも以上にふにゃっとした笑顔を浮かべて幸せそうだ。男同士の恋愛を否定する気はさらさらない。
ただ…もう何年も彼女の居ないオレの前でそれを繰り広げられるとちょっと、虚しい。
「ふぅ…」
もう帰ろう。
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