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考えていてもなにも進まないことはもうわかってる。伊達に年はとってない。
行動あるのみ、だから久々に2人で気軽に話してみるかな。なんて思いながら仕事終わりにこっそり、憂心が大学から出てくるのを待つことにした。
門の前に車を止めて、車内はあったか準備は万端。
ぼそっ
「まだかな…」
うわっ、恥ずかし!
口を押さえて真っ赤になるおっさんなんて誰も見たくないわ…はあ、あっつ。
ぱたぱたと手で仰いでみる。
中々熱が冷めない…
「だからさあ!!」
門の方から誰かの声が聞こえてパッと顔をあげた。
なんだ、憂心じゃないのか……あ!
「ゆうしっ…ん……?」
呼ぼうとしたはずなのに、声が途中で出なくなった。
そこには、まさに幸せと言った表情の憂心が居て、相手の少年も嬉しそうで、オレのことに気づきもしない2人は、あっという間に車とは反対方向へと歩いて行った。
その2人の後ろ姿をただただ見つづけて、見えなくなったところで我に返った、そしてまた考える。
憂心と一緒に居たあの可愛らしい感じのやつが、憂心の想い人なんだろうか…確実に何かを吹っ切れた顔をしていた。
相手の子は知らないし見たこともないが、嬉しそうで楽しいのは他人のオレにまで伝わってきたし。あの雰囲気は…もしかして…
2人はうまく行ったんだろうか。
もう、オレのことはどうだって良いんだろうか。
別に告白されたわけでもないくせに何を考えてんだ…あの時は、オレが言わせたようなもんだし。
けど…ただ気づかれないことが、こんなに哀しいことだとは思わなかった。誰かに笑いかける憂心を見るだけで、こんなに胸が痛くなるなんて思わなかった。こんな自分、知らなかった。
今更気がついたって、遅いのに。
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