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さっき四ツ葉に抱きしめられた時、確かにどきどきした。
けどそれは恐怖と驚きでしかなくて、嬉しさや温かさの欠片もなかった。
憂心に抱きしめてもらうだけで、こんなに優しい気持ちになれるなんて、顔を見ただけで、こんなに安心できるなんて。
なにも訊かずにただ抱きしめてくれることが、こんなにも嬉しい事だとは思わなかった。
「ありがとう…」
そう言って離れる、なんだか名残惜しい…
「具合、悪いんですか…?」
「いや、無性に何かを抱きしめたくなってな…」
ほんとうは何かじゃなくて、明確に決まっていたのだけど、本音は言えないまま濁した。
「そっ、そうだったんですねっ」
頬が赤くみえるのは気のせいなのか?そういう反応をされると、自分がどうすれば良いかわからなくなる。
「憂心こそ大学は?」
「今日は午前だけだったんで、今からお昼ご飯でも食べようかと思って」
「そっか…あ。お昼ごはんと言えば、今日も弁当うまかった。」
「ふふっ、良かったです」
「…明日って空いてる?」
「?…はい。」
「そっか、オレ明日有給とるからさ。」
「やっぱり、何かあったんですか…?」
えらく心配そうな顔で訊いてくるものだから、こちらも緊張してしまう。
「…そ、それも含めて、明日お話しします。」
もう、覚悟を決めたから。
大事な大事な、話をしよう。
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