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pry(探す)
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バスルームからシャワーの音が聞こえ始めるとテルは言われたとおり室内を探索し始めた。発見した武器や装備品を並べると思わず感嘆の息が漏れる。
白島ではなく、元相方だった者の所持品らしいが隠し武器として放っておくには惜しい代物が幾つかある。これを使っていたのは一体どんな人物だったのだろうか、と小さな疑問が頭を過った。
(どうして手を切ったのだろう)
続けて浮かんだ言葉に自ら首を振った。そんな事まで詮索するつもりなどない。
使えそうな弾を持ち出して銃の手入れをしていると、ふとベッドの上に置かれた白島の上着が視界に映り込んだ。先の戦闘で裾が切り裂かれ破れている。
——自分はこの男の過去について何も知らない。しかし、白島は己の過去を繋ぐ存在を知っている。
今日の夕方に話した、兄の事。彼のかつてのパートナーだった。居場所は分からぬもののそれへと続く大きな手がかりを持っているはず。
ほぼ無意識にベッドへ登るとスーツジャケットへ触れていた。この男に関する情報、自分の目標(ターゲット)に関する消息を求めて。
もし、有力な情報を手に入れたとして其の後はどうする。
今後共に運び屋を続けていく意味はあるのか。
スーツの懐を探ると折り畳まれたメモが出てきた。何かの薬品の名前のような物が書かれている。それを仕舞い今度は外側のポケットへと手を伸ばす。中には車のキーと携帯電話が入っていた。黒い無機質なボディに触れると、知らず識らずに息を潜め躊躇いつつも画面を開きボタンに触れればロック解除を求めるメッセージが現れた。
勿論番号など知らない。
適当に思い浮かぶ車のバックナンバーやマンションの数字を入れてみるもエラーで携帯が振動し諦めて元の場所へ戻そうとしたその時、頭上で呼び止められた。
「おい」
「…!」
慌てて振り返った瞬間、いつの間にか出てきた白島によって右手首を掴まれる。シーツへ身体を押し付けられ抵抗出来ずにテルは恐る恐る相手を見上げた。
風呂上がりで濡れた髪から雫を垂らしながら、頭にタオルをかけた男は傍らに転がった自身の携帯を見て怪訝に眉根を寄せる。己に覆い被さるしっかりと引き締まった上半身に思わず見とれながらも、少年は微かに怯えた表情を見せた。
「何してる」
「…あ、…兄の事が、知りたくて…」
その返事に、テルを見透かそうと暫し睨んでいた白島は溜息と共に拘束するのをやめ解放した。
わしわしと髪を拭きながら側を離れる。
「そんな所を探したって何も出てこねえよ…」
どうやら許してもらえた様子にテルは上体を起こし安堵すると謝罪を呟き相手を眺める。
怒られずに済んだのは良かったが、どうしても甘いと思わざるを得なかった。
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