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実家に行こう③◇関屋◇
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裕太の部屋で祈が卒業アルバムや小さい頃の写真を見たと、僕でさえ見てないのに…。
「こっ恥ずかしいから見なくていいよ」
とは言われたが見たい。
幼い頃の裕太の写真を瞼に焼き付けて…出来たら欲しいけど、きっと裕太の母親に頼んでも無理だろう。
大切な一人息子を、僕が奪ってしまったのだから…。
だから僕に当たるしかない、そのせいで風当たりが強いのは当たり前なのだ、祈が的にならなくて良かった。
裕太の部屋の中はベッドに机、本棚には雑誌が並べられていて、色褪せたサッカーボールのクッションが床に置いてあった。
「懐かしいクッションだな…もう布がボロボロじャん…」
祈が本棚から卒業アルバムを出して来て、裕太に手渡し、母親は押入れから別のアルバムを取り出して床に座ると「懐かしいわぁ」と、当時を思い出していた。
「あ、朝喜に似てる」
「朝喜はおかん似やから」
「裕太は昔から可愛かったから、女の子より男にモテてたわね…」
「あー思い出した!男によく呼び出されて告白されてた…」
僕は笑えなかったが、みんな楽しそうだ。
「裕太は今でも男にモテてるでしょ?」
「アレは客からだろっ!しかも社交辞令じゃん」
裕太に会う目的で来てる客は少なくない、だって裕太には言ってないけど『猫山くん一晩いくら?』なんて僕に交渉してくるカスも居るんだから…。
「ま、俺は朝則が一番だし!」
「あんた同棲していた彼女は?」
「追い出されて今はもう連絡すらしてないよ」
母親としては女性と結婚して欲しかったんだろうな…。
「私は裕太が幸せならそれでいいけど、別れたら子供連れて戻って来ていいからね!」
「別れねーよ!」
下から双子の鳴き声がして、裕太は祈を連れて下に行ってしまった。
「朝則くん、裕太で本当にいいの?あの子浮気するでしょ?」
「浮気なんてする隙なんて与えてませんから安心して下さい」
「あらあらどんな教育したなんて聞かないわよ…やれやれ…」
裕太の浮気癖は直したわけではなく、休みを与えないくらい激しく抱いて起きられないようにしただけなんだけどね。
「卒業アルバム持って行きなさい、小さい頃の写真はあげられないから、卒業アルバムで我慢しなさい」
「ありがとうございます」
本人が居ない時に優しさを見せてくれるから、この家に来たくなる。
裕太にもそんな一面はあるから、これは母親譲りなんだな。
「朝則…あーっ!なんで俺の卒業アルバム…」
「お義母さんがくれたから僕のだよ」
「何勝手にやってんだよっ!」
「裕太の小さい頃の写真をあげるなんて勿体無いからね、卒業アルバムで我慢しなさいってあげたのよ!文句あるかいっ!」
「荷物になるじゃねーかっ!」
「送料高いから持って行きなっ!」
面白い親子だ。
「今度来たら中学卒業アルバムが貰えるんですかね?」
「朝則っ!」
そんな騒ぎの中、裕太の父親は嬉しいような寂しいような笑い方をしていた。
別れ際にお義父さんは僕に「裕太を頼む」と背中を叩いてくれた、力一杯…。
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