アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
久しぶりの妊娠◆猫山◆
-
祈が保育所に通うようになり、律くんの息子も入所して来て、少し…俺が数年ぶりに妊娠した。
しかも、双子…。
俺の家系にも、智則の家系にも双子は居ないから、二人でビックリした。
俺は安定期に入るまでお店を休む事になり、俺の代わりに店の常連でもある、律くんの幼馴染み?の遡羽くんが入ってくれた。
だが!しかぁーし!俺の仕事はウエイターだけじゃないんだぜ?
店のメルマガ配信担当だから、完全に休みでも無いんだな!!!
オーナーさんにも頼まれて別に手当が付くんだぜ!!!
少ないけどな…。
そして悪阻、祈の時には蜆の味噌汁を親の敵のように食べていたが、今回は蜆の味噌汁の臭いに吐いた…。
あれこれ試して食べたいと思ったのが『野菜サンド』食べてみたら食べられたし、珈琲の匂いはダメだったが、紅茶なら平気みたいだ。
「裕太、蜆の味噌汁ダメになったか…」
「作ってくれたのにゴメン…」
「オカン無理なら俺が食べるし?」
「野菜サンド食いたい…コンビニで買って食べたら食べれたし」
「律くんに作ってもらおうか?」
「朝則届けてくれるか?」
「もちろん!」
それから毎日、律くんが居ない時は朝則が作って届けてくれたり、時間が無い時には遡羽くんが届けてくれた。
朝則が休みの日は朝則が作ってくれるし、紅茶は自分で淹れられる。
「ふぁー…暇…」
日中は洗濯したり掃除をしている、暇過ぎて部屋中ピカピカだ!
「関屋さん、お子さんは順調ですよ」
「橘先生、今回もお世話になります」
俺は律くん達とは違う病院に通っている。
『橘産夫人科』男性妊夫専門医、もちろん患者は妊婦さんも居るが、普通の産科と違って訪れやすい。
橘先生は朝則の同級生で、祈を取り上げてくれた。
「双子だから帝王切開の方が無事に産めるけど、傷がだいたい塞がるまで入院だから病院生活は少し長くなるかな?」
「無事に産めるなら構いません」
帰宅すると、テーブルの上にサンドイッチと朝則からのメモがあった。
俺は紅茶を淹れて、ソファーに座るとサンドイッチを食べ始めた。
検診だけだから薬は無い。
『裕太へ
おかえり、ちゃんと安静にしてるんだよ?
今日はラストまでだから帰りは遅くなります。
洗濯物干してくれたり、お掃除ありがとう
朝則』
時間を見ると祈のお迎えの時間に近い、腰を上げて出かける準備をしていると携帯に通知音が流れた。
「ん?」
『猫山先輩、祈くんは私が立春と一緒に【月のうさぎ】に連れて行きますので、ご安心を』
「ありがとう、お願いします」
持つべき者は友と言うが、律くんの場合は、同じ同性結婚者で家族持ち、父親と母親の違いはあるけれど、結構気を使ってくれている。
ありがたいけど…。
「暇過ぎる…」
−数ヶ月後−
「育ちましたね…」
「まあな…」
俺は一時的に職場復帰して【月のうさぎ】で体を動かしている。
職場に居たら律くんの出来たてサンドイッチが食べられるからだ。
タダじゃねーよ?
まかないとして出してもらったり…タダだな…、午後の休憩には野菜サンドを有料で頂いている。
「猫山くんの妊夫姿何年ぶり?」←客
「祈くん生まれて以来でしょ?」←客
「何匹入ってんの?」←客
「動物じゃなくて人間が入ってますよー(╬°▽°)」
「わっ!関屋さん!」←客
「双子なんですよ」
「へー!双子!」←客
「律くん夫婦に負けず劣らず相変わらずラブラブだねー」←客
「愛してますから(´▽`)」
「関屋くんがデレた!!!」←客
朝則って店ではクールなキャラだもんな、確かに店内でデレとか貴重だ。
常連さんは俺が祈を身篭っていた事を知っている。
だからなのかは知らないが、皆カウンターに座ってくれる。
俺は厨房で注文を受けて、珈琲や紅茶を淹れて、お客様に提供している。
朝則はフロアでお客様のテーブルを回ってる、律くんは俺と同じく厨房の中でフライパンを振っている。
「律くんアップルパイの在庫ある?」
「ありますよ?」
「ハーフでお持ち帰りしたい人が…」
「ご用意いたしますので少々お待ちください」
律くんは秋くんを射止める為に料理やお菓子作りを頑張った結果、今や【月のうさぎ】では欠かせないスイーツになっている。
以前品切れして、休みだった律くんをオーナーが呼んで作ってもらって以来、沢山作って専用化した冷蔵庫で静かに眠っている。
「お待たせしました」
「ん、お客さんに渡して来る」
「相変わらず律くんのアップルパイは人気があるね」
「秋さんの喜ぶ顔と美味しい顔が見たいからです」
朝則も俺も結婚指輪をペンダントにして身に付けてる。
どうやら俺は妊娠すると不安に駆られる…、そんな時ペンダントをギュッと握り締める。
休みの日や、二人で…家族で出掛ける時にしか付けなかった指輪。
「裕太?」
「朝則…」
俺が不安になると、何かを察するのか朝則が近くに居て、寄り添ってくれる。
「出産には立ち会うから…」
「今回は帝王切開だから無理だろ?」
「そっか…祈の時とは違うから…」
「そ、双子だからな」
正直、身体にメスが入るのは嫌だが、あの苦痛に耐えられる気がしない…。
でも、無事に産んでこの世界を見せたい。
「あ、祈を迎えに行かなきゃ!」
「今日はそのまま直帰して安静にしてなさい」
「別に平気だけど?」
「裕太…」
「分かったよ!」
そんなに過保護にならなくてもいいんだけどな…、多少運動しなきゃ産後の腹が怖い事になりそうだし、きっと腹ぷよになったら俺は朝則に飽きられて、祈とも双子ともバイバイになる…。
ぐにゅーぐにゅードン!
腹の中で子供が元気に暴れている、そりゃ二人入ってるんだから狭いよな…。
そんな事を思いながら保育所の門まで来た時、よりにもよって陣痛らしきモノが俺を襲った。
「ゔっ…」
くっそー!
誰でもいいから気付いてくれ…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 17