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う、産まれるぅ◇関屋◇
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律くんから言われて驚いた。
裕太が保育所の前で倒れていて、子供と言うか孫を迎えに来た人に助けられて、橘産婦人科に運ばれたと…。
スタッフルームに行き、着替えて出ようとしたら秋くんに。
「関屋くんカバン…」
「あぁ…ありがとうございます」
落ち着いているつもりだったのに、運ばれたと聞いて気が動転しているようだ。
祈も病院に行ってるようだし、家に戻って入院に必要なものを揃えてから…えっと、えっと。
~♪
「はい?」
『あ、オトン?』
「祈、オカンは?」
『オカンならしゅじゅちゅ室にさっき入ったから、オトンは落ち着いて入院に必要なものを揃えて持って来て』
「祈…」
『なに?』
「ありがとな…」
『…ほら、俺は兄ちゃんになるんやし、しっかりせんとな?』
「じゃ、必要なものを揃えてから行くから、祈頼むな!」
『任せて!』
祈は僕達が知らない間に少しだけ大人になっていた。
嬉しくもあり、寂しくもあり、そんな事を考えながらタクシーに揺られ、部屋に戻り荷物を整え、またタクシーに乗って橘産婦人科に向かった。
精算してタクシーを降りると、祈が駆け寄って来た。
「オトン!」
「オカンは?」
「まだ出て来ない…」
「大丈夫だよ、橘は祈を取り上げてくれた先生だし、オトンの友達だ」
「え、あのスケベ顔の医院長が?」
「プッ…あはははははははははっ!!!」
信頼出来る奴だけど、アイツも僕と退けを取らないほどプレイボーイだったからな…。
僕が裕太に子供を産ませるとか、結婚するとか言った時、驚いてたもんな。
裕太の病室に行き荷物を片付け、祈と一緒に『手術中』と点灯している部屋の前に置かれている椅子に座った。
正直落ち着かない。
立ち上がってウロウロしたくなるのを我慢する。
ただ目線だけは扉と『手術中』のランプに行ってしまう。
「落ち着きの無いオトン久し振りに見るかも…」
「ん?」
「オカンが双子を妊娠したって知った時、オトン喜んでたけど落ち着きなかったやん?」
「よく見てるね…」
子供に見られてないようで、見らてるんだな…。
「名前決めたん?」
「いや、双子で男の子だろ?祈の時とはまた違うし…」
「二人の名前から取れば?」
「裕太と僕?」
「俺はオカンとオトンの最初の子で、オトンの最初の宝物やろ?オトンが祈るような気持ちでエッチして、俺がオカンのお腹に宿ったっつ聴いてる…」
「オトンは祈に会いたくて、裕太に産んでもらえるように頑張ったからね」
裕太が可愛くて、家族は裕太だけでも良かった。
でも、夫婦の証…子供を、最愛の人に自分の子供を産んで欲しくて…、そして、祈が裕太のお腹の中で命を芽吹かせて、産まれた。
「裕希(ゆき)と朝喜(ともき)」
「弟の名前?」
「そうだよ、祈の弟の名前…」
「…なんか、お兄ちゃんって実感湧いて来た…」
「ふふふ…期待してるよ?祈お兄ちゃん」
「背中が痒くなって来た…」
祈と二人での会話は家に居ると少ない、父と子、男同士、きっと祈は抱く側だ。
「あ、オトン、明かり消えた!」
「っ!」
キィ…
「ふぅー…おっ!関屋」
「橘っ!」
「無事に取り上げて、嫁さんも大丈夫!出血も少なかったしな!」
「橘…ありがとう…」
橘はそのまま休憩するとかで、どこかへ行ってしまい。
しばらくすると、酸素マスクに点滴を繋がれた裕太が出て来た。
「麻酔と疲れでよく眠っていますから…目が覚めましたらナースコール押してくださいね?」
お腹にメスを入れたのだ、麻酔を使って当たり前か…。
「裕太…ありがとう…」
「オカンありがとう…はよ起きて…」
麻酔は思っていたより早く効力を無くし、裕太が目覚めた。
「オカンおはよー」
「祈…」
「裕太お疲れさま」
「朝則…」
「裕太くん」
「え?秋くん?」
秋くんはカメラを持参して写真を撮りまくっている。
疲れた裕太の写真に赤ちゃんの写真、ベビー室のガラスに貼り付く祈、勿論赤ちゃんを抱っこした僕も、秋くんは熱心に…それ以上に新しい命を嬉しそうに撮っていた。
「お義母さん!」
「僕は祈くんのお義母さんじゃないし、立春は嫁にあげないからね?」
「お義母さん俺もお兄ちゃんになりました!」
何やら秋くんに報告してるし、僕も両親に報告しなきゃなんだけど…。
携帯を片手に院内から出て、何年も音信不通にしていた親に電話を…掛けてみた。
『はーい馬鹿息子ママだよーママーほらママって呼べよ!!!』
「報告が有ってさ…その…今日さ…裕太が双子生んだんd…『双子ーーー!!!どっち!!!』お、男の子…」
『俺も婆ちゃんか…』
「母さん祈忘れてない?」
『………あっ!!!』
「裕太が退院して、落ち着いたら行くから…」
『手土産は酒な!!!』
通話を切って、院内に戻ると祈が赤ちゃんを抱っこしていた。
足の裏には『せきや』とマジックで書かれている。
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