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「で? なんで、そんなに嫌だったんですか?」
「……ッ」
行為後の気だるさに包まれながら着替えていると、不意にそう訊ねられた。
「どうでもいいだろ、そんな事」
「どうでも良くないです。だって、今日の菅原さんいつもより感じてたじゃないっすか」
紙パックのジュースにストローを差込みながら忘れてしまいたい事実を指摘され、ぶわっと羞恥心が込み上げて来る。
「ば、馬鹿っ! もー、さっきのは忘れろって!」
「嫌です。忘れられるわけないじゃないですか」
「んなッ!?」
きっぱりと言い切った影山に思わず面食らう。
「あんなに気持ちよさそうにしてたのに、なんで今までバックに拘ってたんですか?」
鋭い双眸にまっすぐ見据えられ視線が泳ぐ。 話してくれるまで帰さないと言ったオーラを感じ、菅原は小さく息を吐いた。
「い、嫌だったんだよ」
「何がっすか?」
「オレ、お前と同じ男だし……男のヨガってる顔なんて見たって面白くもなんともねぇべ? む、胸だってねぇし……お前が途中で萎えるんじゃないかと思って」
言いながら声がどんどん小さくなってしまう。恥ずかし過ぎて、今すぐにでもこの場に穴を掘って埋まってしまいたい気分だ。
「菅原さんが男だって、そんなのわかりきってますよ」
「そーだけどさ……」
「菅原さんが感じてるトコ、其の辺のAVよりヤバかったんで取り敢えず萎える事はないです!」
「影山、それあんま嬉しくねぇし」
大真面目な顔で言われて、思わず苦笑してしまった。影山本人はフォローのつもりなのかもしれないが、AVと比べられたら、それはそれで複雑な気分になる。
「正直なところ、胸とかどうでもいいっす。偶々好きになった人が同性だったってだけの話なんで。好きだから触れ合いたいと思うし、キスとか、その先のこととかしたいって思うの普通じゃないんですか?」
「ハハッ、そうだな」
まさか、影山に恋愛について教えられる日が来るなんて思ってもみなかった。
ごちゃごちゃ考えていた自分が何だか可笑しい。
「でもまぁ、これからは顔見ながら出来るんですよね?」
「えー……、ハズいからヤダ」
「えっ!?」
まさかそう返ってくるとは思って居なかったのか、影山の目が心底驚いたように大きく見開かれる。
自分の言葉に一喜一憂するその顔が愛おしく思えて、そっと首に腕を回して引き寄せ自分から軽く口付ける。
「――今のは冗談。気が向いたらしてやってもイイ……かな」
「うっす」
はにかんだように笑い、視線が絡む。どちらかともなく目を瞑り、ゆっくりと触れるだけのキスをした。
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