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☆朝食
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コトコトコトコト………
味噌汁が煮えるコトコトという音が心地よい
トントントントン………
玉ねぎを切る音がリズミカルに聞こえてくる
ジュージュージュージュー……
卵焼きが焼ける音とバターの良い匂いが空腹を掻き立てる
俺は今、朝ごはんを作っている。このアパートでする……最後の料理……
いつもよりも綺麗に…丁寧に作っている。匂い、空気……全部を体に刻んでいくように……
作っていると、カラカラと音がして腰にタオルを巻いた蓮が出てきた。
ポタポタと髪から水が滴り落ちていて、うっすらと割れた腹筋が色っぽい……
ボンっと顔が赤くなった。
「れっ…!れれれれれ蓮っ!!!!
服くらい着なよ!!!かっ、風邪ひいちゃうじゃん!!!!」
「風邪ひいたら………明が看病してよ……」
蓮はそう言って悲しそうに笑った。
「……っ…それは………」
言葉に詰まった……。冗談なんて言えないし……、でも……。
俺が何も言わずに下を向いてると「分かってるよ……」とポツリと呟き、蓮は着替えに部屋に入っていた。
ふと見た蓮の指には指輪がはめられていた……。
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蓮は着替えると、料理を作る俺をじーっと見ていた。
蓮は時々、目が合うと嬉しそうにニコッと笑っていた。
………俺は…なぜだか笑い返すことはできなかった……。
今、作っているのは……ハンバーグ……。朝からハンバーグってどーなんだ?って感じだけど……
蓮は俺のハンバーグが一番好きだって言ってくれたから……
俺の頭にパッとハンバーグが浮かんだ……
………あ……こんな…思い出みたいに作ったら…余計辛いだけなんじゃ……
こんなの……間違ってるのかな……、ただの…自己満足なんじゃないのかな……
俺がそんなことをグルグルと考えていると
「なぁ、明、これ焼けばいーのかー?」
なんて声が横から聞こえた。
ハッとして見れば、俺がこねて形にしたハンバーグを指さした蓮がいた。
「あっ……う、うん……」
俺が返事をしたら蓮が「分かったー」と言ってニコニコしてハンバーグを焼き始めた。
………あぁ…蓮は……そんなことを思うやつじゃないよな……
蓮と隣で料理を作るのは初めてだった……。最初で……最後なんだなぁ……
そう思うと自然と涙が出てきた。
あれ…?俺………こんなに泣き虫だったけ……
蓮と出会ってから……俺、涙もろくなったなぁ……
ずずっと鼻をすすると、俺の大好きな大きくて暖かい手が俺の頭をなでた。
俺と蓮からは同じ匂いがした……。
……俺と蓮は、ちゃんと恋人同士だった……。
2人は、ハンバーグの良い匂いが立ち込めるキッチンで綺麗に笑いあった……。
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