アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
仕事終了。
-
「ふう…」
ちょうどAM9:00。
俺は今日のノルマを終え、一人会議室でため息をついた。
使用済みの書類を片付けて、いざ帰ろうかと意識を向けた、その時だ。
あっ……。三連休明けで仕事に走り回ってたから忘れてたけど、水音、大丈夫かな…。
不意に心配になり、電話しようとポケットに突っ込んだ。
あ…電話出るなって言っちゃってるな…
そんなことを思いながら、会議室を出た。
「先輩」
背後から声をかけられ、俺は足を止め、首をめぐらした。
「お疲れ様です」
「おう、お疲れ」
ソイツは俺よりも顔一つ分小さい高さから大きな黒目をさらに大きくして、俺を見ていた。
海堂 凛太朗。俺の後輩で、何かと俺に頼ってきてくれる。凛太朗は中々の美少年風の顔をしていて、人柄の優しいこともあって女性社員からの人気も高い。
俺もコイツのそういうところを気に入ってたりしたりしている。
「会議、やっと終わったみたいですね」
「あぁ。でも、なんとか上手くいきそうでよかったよ」
「休み明けの仕事はキツイっすよね」
「本当だよ〜。デスクについてパソコンつけたなり、仕事てんこ盛りだもの」
「あの量をこの時間までにまわしてたんですもんね〜。今日はもう上がりですか?」
「あぁ。帰ろうかと思ってたところだ」
そう言いながらも俺の足はすでに向かっている。凛太朗には悪いが、今は水音のことが気になってしかたがない。
「凛太朗は? もう上がりでいいのか?」
「はい!先輩が会議終わったって聞いたんで、待ってたんスよ」
凛太朗は待ってましたとばかりにそう答えた。キラキラと目を輝かせる様子は仔犬がしっぽをふっているようにも見えた。
俺はガラでもなくクスッと笑うと、凛太朗が不思議そうに俺を見た。
「んじゃ、凛太朗、帰るか〜」
「はい…」
早く帰らねば。
その時には俺の頭の中は水音でいっぱいだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 431