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事件発生
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「ただいまー」
家に帰る早々、焦っていた俺は玄関に駆け込み、リビングへと続くドアを開けた。
だが、聞こえるはずの物音が聞こえず、俺は不安にかられた。キョロキョロと辺りを見渡すと、ソファの影に水音らしき足首と足裏が見えた。
頭が真っ白になり、ソファを覗き込むと、水音が倒れていた。
「水音!!」
手加減も忘れ、肩をガクガクと揺さぶると、水音が『う…』と唸った。
「水音? 水音!! 大丈夫か? おい!しっかりしろ!」
「つ……さ…?」
焦点の合わない目で見上げる水音に、俺の心がいくらか和らいだ。
「そうだ。司だ。どうした?何があった?」
「…み…みず…」
「水? 水だな? ちょっと待ってろ!」
一旦水音から離れ、冷蔵庫を乱暴に開け、ミネラルウォーターを引っ掴む。
水音を仰向けに寝かし、肩の下に右腕を差し入れた。そして中途半端に空いた口にゆっくりと水を含ませた。
すると、水音のノドはゆっくりと上下し、水を飲んだ。その動作を何回か繰り返し、水音の大きな体にそろそろ腕の限界というところで、俺は水音をそろりと元に戻した。
水音のこちらを見る目は弱々しく、俺は水音を拾ったときのことを思い出した。
水音は俺が声をかけるとまるで安心したかのように意識を失ったのだ。
俺を捉えた目はあまりにも頼りなくて、いつのまにか水音を抱き、帰る俺がいた。
出張先から帰る途中だった俺は、荷物を宅配にした自分に感謝しながら、傘もささずに雨にうたれ帰ったのだった。
「水音…」
「つ、かさ…さん」
「ん? どうした? 病院、行くか?」
水音はわずかに首を振ると、大きな手の平を俺の頰にピトリとくっつけた。
「司さん…帰ってきた…」
その言葉は俺の体の芯までしみこみ、俺は水音の手の平に手の平を重ね、頬ずりした。
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