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ヤキモチ
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「司さん! おかえりなさい!!」
「おう。ただいま、水音。元気してたか?」
そう言うと水音の顔には一瞬迷いの色が浮かぶ。だがすぐにもとの笑顔に戻った。
「うん!元気、してた!」
「そうか…」
よく見たら水音の顔の鼻の天辺や目が少し赤い。また泣いていたのだろうか。
そんな思いがチラついたが、俺は強がる水音の方に付き合うことにした。
「うん、よしよし!」
「えへへ」
髪をワシャワシャとかき混ぜた。まぁ、これで騙されてくれるだろう。
「さてと…夕飯の用意をするか」
「はい!」
「司さん? 何ですか、それ?」
「ん、あぁこれはアルバムだ。俺の高校時代のな」
俺はお風呂で温まった体に若干の眠気を感じながらも押し入れからアルバムを取り出した。
少しホコリをかぶっている。俺もオッサンになったものだ。
まさか30過ぎになって、藤本に会うとは。しかもじきに自分の上司になるなんて。
あの時、俺の親衛隊ができていることにも驚いたが、それよりも親衛隊隊長として挨拶をしに来た藤本に驚いた。
『え!? お前が俺の?』
『はい! 隊長は女子が他にも候補はいたんですけど、お言葉ですが人見知りをしやすい先輩には、
どちらかと言えば親しみやすい男子の方がよいかと思いまして!
それに俺、ずっと音無先輩に憧れてて…』
そう言ってはにかみながらニカッと笑ったアイツの顔は今でもハッキリと思い出すことができる。
「うわぁ…司さんがいっぱい…!」
気がつくと水音が熱心にアルバムを横から見つめていた。…しっかりと手をつないで。
最近は水音から俺に触れることが多くなった。手をつないだり、抱っこをせがんだり、添い寝をせがんだり。
俺は正直可愛くて仕方ない。その度に水音に笑いかけ、お互いに目を交わし合った。
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