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ツンデレ司
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しばらくポーッとしていた司が2人の笑い声に我に返ったかのように言った。
「そうだ! ほら水音。青史に挨拶しなさい」
「はい! おはようございます。ボク、水音です。16歳です! よろしくお願いします」
そうやって急に改まって挨拶した美少年、もとい水音クンに俺はピシリと固まった。
「司」
「んー」
「冗談じゃなかったのか…」
「だから言ったでしょ。毎日体格がかわるって。ここ最近はずっとちっちゃかったけど、今日は大きくなったんだね」
「は、はい!たぶん、今日、お空、灰色だからだと…」
「え?」
これには2人の声が重なった。
司がリビングのそばの窓のカーテンを開けると確かに空には厚い雲が立ち込めていて、今にも雨が降り出しそうだ。
というより、寝ている間に降ったらしい。ベランダの床が少し濡れていた。
「なに、水音クンは天気によって体格がかわるの?」
「わ…わかりません。ボク、毎日お空見たこと…」
「わーわーわー!!!」
突然司が大声を上げた。
何事かと思って司を見ると、司はあろうことかバッと目をそらしやがった。
…昨日のアレが関係しているのか。
てことは司の奴、昨日のこと覚えちゃいないのか?
いや、司の酔いは俺が醒めさせてやったはず。
まだ俺に話していないことがあるのか。それとも水音クンに隠しているのか。
分からなかったが、いずれにしても16歳の少年の前でわざわざほじくり返すこともあるまい。
それにしてもごまかし方がヘタすぎやしないか…?
「司さん、どうかしましたか?」
ほらみろ。水音クンがキレイな眉を寄せて心配してるぞ。
なんてイイ子なんだ。ゴメンよ。昨日、さんざんけなしちゃってさ。
ま、謝んないけど。
「おーそろそろ俺も帰ろかなー。今日は休みだし」
どう言い訳しようか悩んでいた司に一瞬シッポが見えた。
俺の助け舟を喜んだような、『もう帰っちゃうの?』みたいな。
俺はあくまでも水音クンの味方ではない。司の味方なのだ!
心の中の俺が、フンッと大きく鼻を鳴らした。
カワイイ俺の司のためならなんとやらだ。コンチキショー!
そして俺の胸に飛び込んでおいでマイハニー!!
ポスン。
ん?
背中に予想外の重みを感じて、俺は振り返った。
「兄貴…もう帰っちゃうんですか?」
水音クンが俺の背中に抱きついていた。
か、カワイイ…!!
前言撤回!ちょっと考慮に入れたゲル!
あとは…
「あとは司!ほら俺の胸に飛び込んでおいでー!!」
「え!?」
いつもならこれぐらいの冗談をバッサリ斬る司が目をキョドキョドさせている。
どうしたんだ?
逆に俺がびっくりしていると、司はゆっくりと足を前に出し始めた。
ついに俺のすぐ目の前にたどり着くと、司はポスンと俺に抱きついた。
…え?あれ?
予想外すぎて言葉が出ないんですけど…
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