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「青史…ほんとにどこもいたくないの?」
まだどこか朦朧とする視界の中、ベッドの中の青史に問いかけた。
「大丈夫だってば。ちょっと頭がぼんやりするだけ。
もう…これ5回目だよ?」
青史は笑ってそう言うけど、声にいつものハリはない。
顔色だって悪い。
…あれから、青史と俺は憔悴しきった心とからだを引きずって、青史の家へ向かった。
青史の家の方が近かったというのもあるけど、なにより青史が1人で帰れそうもなかった。
傷口の血は完全に止まってはいたけど、血を流しすぎたせいかフラフラしていた。
凛太朗はもちろん俺たちに付き添おうとしてくれたが、ホテルの部屋の中は先ほどの騒動のせいでむちゃくちゃだった。
汚れや多少の破れはともかく、虎が暴れたせいで派手に引っ掻かれたカーテンや壁。
なぜか床は泥だらけではなく、まじりけのない水が飛び散っているだけだった。
その後処理を1人で申し出てくれたおかげで、俺たちはこうやって帰ってこれたのだ。
半分ほど開いた窓からふわりと風が舞い込んでくる。
皮肉にも外は快晴で、秋晴れの空が広がっていた。
「司」
「なに?」
「…おまえは?
俺はそっちの方が気になる」
青史の眉が寄せられる。
布団の下でつないだままの手の力が緩んだ。
それを見逃さず、青史の視線が俺に無言で訴えられる。
なぜ、あんなことをしたのかと。
分かっている。
おそらく、青史は今、不安にかられてしかたがないのだと。
でも、俺は今、どうしてもそれにこたえることができなかった。
まだ、からだが疼くのだ。
藤本におそらく寝ている間になにかされたと思う。
こうして青史の手を握るだけでも、俺のそれは熱を帯びて主張している。
青史のそばにいたいという気持ちと自分のからだが汚れているという嫌悪の気持ちが交錯する。
だから、青史の手を握るしかないのだ。
放さなくちゃいけないと分かっていても、青史にこの気持ちを気づかれるのだけはイヤで放せない。
そして、このまま流れにゆだねてもいいという甘えも交じっていることもたしかだ。
祈るように見つめ返した真っ黒の瞳に、俺の顔が映っている。
それが俺の理性を一番にとどめていた。
甘えたい。
キスしてほしい。
その腕で抱きしめてほしい。
でも、俺のからだは、汚い。
醜くて、穢らわしい。
なぜこの熱は治らない?
誰のせい?
俺のせい?
どうすればいい?
もうどうにかなってしまいたい。
苦しい。つらい。
もう、いっそ…めちゃくちゃに犯してほしい。
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