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水人間の行方
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「……で、何の用だ?
俺、今から出なくちゃいけないんだけど」
いつのまにかちゃっかり上がりこんでいるウラノは、知ってるよーなんてぬかしながらもソファーに寝転がっている。
男性にしては薄い胸板のせいでTシャツが少しはだけ、綺麗な背中のラインが見え隠れする。
ウラノの上目遣いをサラリと流し、ウラノの細い腰の上に座る。
「ちょっ重いってば〜」
「さっさと質問に答えろ」
「分かった! 分かったからもう!
おーもーいー!!」
ジタバタ暴れるので解放してやると、台詞とは逆にイタズラっぽく笑っていた。
どうやらこの時間帯を狙ってきたのはまちがいないらしい。
「これからデートなのにそんな顔してちゃダメだよ?」
「デートじゃねぇ!!」
「デートじゃん。
なに? カワイイ子? 僕にも会わせてよ」
「……また今度な」
「え。例の司先輩じゃないの?」
「…ちがう」
「…ふーん。
でも水人間と接触を図るための今日なんでしょ?
たしかトウちゃんの話によると、その司先輩んちに水人間がかくまわれているんじゃなかった?」
「まあ、そうなんだが…」
「……そっか。ちょっとカンチガイしてた」
めずらしくトーンの下がった声音に顔を上げると、ウラノは少しビミョーな顔をしていた。
若干うつむいて唇をかるく噛み、どこか一点を見つめて、小さな声でそっか、そっか…とつぶやいている。
「どうかしたか?」
「え? あ、ううん、なんでもない♪」
「そう、か?」
「あは、こんな時間に来てごめんネ?
僕、もう出て行くよ。じゃあね〜」
「お、おー」
そう言うと本当にウラノは出て行った。
胸に違和感が残ったままだったけど、すぐに俺のあたまはデートと司先輩のことで一杯になった。
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