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転がる運命 side藤本
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そうして凛太郎が動くたびにはねる髪を撫でるうち、料理が運ばれてきた。
ざっくりと大きめに切られたサンドウィッチを食べるうちに、やっと俺も余裕を取り戻した。
凛太郎もいつもどおりに戻って、大人しくかぶりついていたし、ちょうど腹がへっていた俺はだんだん夢中になって平らげてしまった。
よくよく店を見回すとここはうちの会社の系列の店で、なんとなく来た覚えがある。
いつだったかなぁ、と店内を注意深く見るうちに俺はこの喫茶店には珍しい男の店員がコーヒーを運んでいるのに気がついた。
背は高く若いが、どことなくふつうの若いバイトとはちがう気がした。
なぜならその男はクルクルとパーマのかかった髪の下の顔には笑みは少しもなく、ただ無表情で目の色だけが場違いみたいにきれいなとび色がキラキラしていた。
だけど、まっすぐに伸びた背筋の歩き姿はキレイ、というよりどこか違和感を感じさせるものだった。
「なんだ…あいつ」
「はい?」
「いや、なんでもない」
まさかあいつみたいなのが水人間とか…?
いやそんなわけないよな。
そんなに簡単に見つかるわけないし、違和感はたしかにあるが非常に小さなものだ。
そういう人間だと言われれば反論はできやしない。
だが、そいつはジッと見つめる俺に気がついて、突然柔和な笑みを浮かべ頭を下げたのだった。
な、なんだ…?
『最新の水人間はねー、顔の表情筋が動くようになってるんだ♪
まだちょっとカタイけどw
それが第一号にはないんだよね〜』
ふと思い出したのはウラノがたしか2週間前にメールで自慢気に話していた内容だった。
気のせい…か。
そしてお冷やに手を伸ばしたときガラスに反射して映る司先輩に気がついた。
誰かと楽しそうに談笑している。
司先輩…!?
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