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秘めるべき告白
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あれは、忘れもしない俺の大切な日。
俺は大手企業の次男として生まれ、親の思惑通り教養を身につけ、躾けられたまるでお手本のようなイイコだった。
俺よりも優秀で才色兼備の姉貴と姉貴の頭を撫でる両親の背中を見ながら育った。
ある意味、子供らしくない子供だと思う。
親に甘えたりすることなんてあまりしなかったし、べつにそれを特に気にとめたこともなかったように思う。
全然かまってもらえないわけでもなかったし、それに聞き分けがいい子だとたまに両親に褒められたりするのが嬉しかったりもした。
姉貴も優しかったし、不満もなかった。
だけど、大人がたくさんいる環境で育ったせいか同年代の子たちが少し苦手だった。
それを思ったのだろうか、ある日突然いつも忙しい父親が一組の親子を俺のところに連れてきたことがあった。
1人は見たことがある。
父親の秘書だ。
名前は知らなかったがよく見る顔だった。
だけどその秘書と手をつないでいる子どもには見覚えがなかった。
そいつは俺の視線にすぐに気づいておずおずと一歩近寄ってきた。
「音無 司です。よろしくお願いします」
遠慮がちな行動のわりに愛想のいい笑みを浮かべていた。
緊張しているのだろう。
足が少し震えていた。
キレイ、という言葉が似合う子だった。
俺が無言で見とれていると、とたんにキレイだった笑みがくずれて少し泣きそうな顔で自分の父親の顔を見上げていた。
ちらちらとそのクリクリとした瞳が俺と秘書とを行き来し、俺が少しおどかすと今にもここから逃げそうな気がした。
「斗真、紹介する。
ウチの秘書のお子さんの司くんだ。
司くん、いっしょに遊んでやってな」
「は、はい!」
ビクッと肩をふるわして、今度は秘書の手を離した。
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