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愛していました。狂うほどに。
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「とうま、様…?」
「え?」
不意打ちでなつかしく名前を呼ばれて、俺は動きをとめ先輩を見つめた。
先輩の目はいつのまにか元のトロける前の先輩に戻っていて、信じられないという顔をしていた。
「いやそんなまさか…そんなことが…」
「はっ…今のどこで気がついたの?」
うわごとのようにポソポソと喋る様子を見ると完全に我に返ったらしい。
「司! 今行くからな!」
もう来たのかッ!!
この短時間でここを突き止めるとかアイツはバケモンか!?
だけど驚くというより舌打ちしたくなるような気持ちだった。
俺の中にもこんな良心があったとは…
正直そっちに驚くわ。
「あ、青史?」
俺はどうも、こんな他の男のために顔を輝かすコイツがイタイほど好きらしい。
まったくやっかいな感情だ。
「チッ…またアイツか」
しかたねぇ。
俺はこんな気持ちも司先輩も青史…先輩も憎らしくてしかたないけど、せめて、せめて最後まで悪役を演じてやるくらいはできる。
泣くんじゃねー。
逃げんじゃねー。
受け止めろ。
ぜんぶ。ありのままを。
あなたを想っていた時間ごとぜんぶ。
そう自分に言い聞かせた。
俺に許されるのは、光を闇から見守ることだけなんだって。
「また…?」
「あーそうだよ。
あんときもアイツが邪魔をした。
あんたは覚えてないだろうけどさ。
…アイツ何モンなんだよ、この俺をことごとく邪魔しやがって」
そうだ。その調子。
「なんだよ…それ。俺、そんなこと知らない」
「だろうと思ったよ。
まったくのろけやがって…」
そして、拒絶しろ。
「あーもうきょうが削がれた!!
やっぱ、やーめた。
アイツ怒らすとロクなことないし、勝手にどこにでも行けば?」
…でも、俺はまったく意志が弱いらしい。
「ま、俺があなたのこと気に入ってるってことだけ覚えといてくださいよ。
俺、わりとあんたのことスキみたいですから」
「ちょ、おまえ、そんな、こんなことしといて…!」
ゴメンなさい。
こんな戯れだけ、言わせて。
ほんの一呼吸おいて、司先輩は困惑の表情のまま言った。
「一応…その、ありがと」
「…そのお礼は何のお礼ですか?」
「え、だから、その…俺も」
「司!」「司先輩!」「司さぁん…」
それ以上言ったらマジで殺すぞ。
この、ニブチン。
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