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「あ…仁?」
背後から聞こえた声
聞き覚えのある声に俺は振り返ることなく立ち止まった。
「仁ちゃん?」
何も喋らない俺を何事かと覗き込んでくる嶋津。
それにも応えずただ立ち尽くしていると、足音が近づいてきた。
「仁……俺……」
何か言いたげな切ない声
そっと掴まれた裾にため息を漏らしながら振り返った。
「……瑞樹、もう俺には関わるなって言っただろ。」
そういうと目の前の男は傷ついたような目で俺を見てきた。
「……お、俺、何もできなくて…寮にいったらもうお前、いなくなってて…それで……」
「……いい。別にお前が責任感じるようなことじゃねぇ。最後まで信じてくれたのはお前だけだった。それには感謝してる。」
だが…
すかさずそう続けて瑞樹の目を見つめた。
「もう俺とお前のいる場所はちげぇんだ。お前がこれから俺に関わる必要はねぇ。情けなんかかけてもらう義理はねぇ。」
「仁………」
「いいか?ここから俺たちはただの他人だ。もう俺に関わるな、いいな?」
「仁!」
必死に止めようとする瑞樹の声を聞かぬふりして、嶋津に声を掛けると俺たちは再度歩き出した。
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