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「……俺のことが気にいらねぇのはよくわかった。でも、何を言われようが俺はお前のいいなりになる気はねぇ。誰でもお前の従順な犬っころになるとは思うな。俺は…そんなに安くねぇ」
「ふーん……本当に断るんだな?いいのか、これが最後のチャンスだ」
「仁ちゃん……」
嶋津の不安そうな声
俺はそれを一瞥して、目の前の虎に視線を戻した。
「あたりめぇだ、このアホ」
「……本当にバカなやつだ」
そう言うとクガワタクトは小さく笑い、そのまま教室を出て行った。
静まり返る教室……
俺は集まる視線を浴びながら自分の席についた。
続くようにして嶋津が隣に座る。
「仁ちゃん……」
「……なんだ」
いつもより低くて不機嫌な声に嶋津が息を呑むのがわかる。
それから何も言わない嶋津にため息を漏らし、窓の外を眺めた。
さっきまで白い雲だけが流れていた空は灰色の重い雨雲に覆われ出している。
重っ苦しい空気と天気に気分までもが下降する。
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