アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
87
-
……気づかなかった
全員出て行ったとばかり思っていたから対応しきれなかった。
「いっ……誰だ…」
痛みを堪えて目を開く
目の前まできた生徒は俺の胸元を掴み、無理やり立たせてきた。
「なにどんどん馴染んじゃってんの?他人に興味ない振りしといて……そうやって皆に取り入るつもり?ふざけんなっ…!」
叫びにも似た声とともに頬に鈍い衝撃
殴られたとわかったときには再び机の山に激突していた。
その衝撃で一瞬息が止まる。
「なんでお前みたいなヤツが……なんで……」
相手の顔は見えないが、声は明らかに震えている。
だからといって泣いているわけではないようだ。
……俺への怒りからだろう
「別に俺は連中と仲良くやるつもりはねぇ。勝手に構ってきてんのはあっちだろ?」
「……ほら、そうやって否定する。それなのに、なんで皆はこいつに…悟さんも涼さんも…奏さんも…!」
「グッ……腹は、やめろ…っての」
力任せに蹴りやがって……
「許さない。俺はお前を認めない。認めさせない」
生徒はそう言い残して去って行った。
出て行くところを見ていれば後ろ姿ぐらいはわかっただろう。
でも、そんな気力もわかず鈍痛を訴える腹に手を当て俯いていた。
ドアは閉められ、また部屋の中は薄暗くなる。
「本当に…なんだってんだ……」
窓を水が打つ音がする。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
87 / 376