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目の前の握り締められた拳がそれ以上語るなと告げる。
それに応えるように駿は口を閉じて苦笑した。
「……お前が気にすることじゃねぇ」
「そか、わかった。俺は何も言わん。今のところはな」
「ふん。そいつ、寮に運んでやれ。あとは悟がどうにかするだろう」
拓人はそう言うと、駿と仁に背を向けた。
「なんや、お前が運ばんのかい」
「……あいつはむやみに俺に会いたくないだろうしな」
そう言い残し、その大きい背中は闇の中に消えようとする。
駿はそれを見つめため息を漏らした。
「まぁ、ええわ。それより拓人、また街に降りる気か?」
「あぁ。またこっちは頼んだ」
「お前、何か厄介ごとに首突っ込んどるんとちゃうやろな?何も相談もせんと……」
「チームには関係ないことだ。気にするな」
それを最後に背中は完全に闇に消えた。
「……関係ない、か」
切ない声は儚く消えた。
夜はさらに深く濃くなっていく
side end .
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