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「……俺は予定になかった子供だったらしい。間違いでできたんだって物心ついたときから言われていた。どうせなら女が良かったってな。親からだけじゃなくて、親戚とか大人全般からな」
「そ、そんな……」
思わず漏れただろう言葉に視線を向けると、嶋津はサッと口を手で塞いだ。
それに小さく笑う。
「それでも育ててくれたからそれなりに感謝はしてる。いちおな。でも、俺はほとんどの時間を一人で過ごして、できることは一人でしてきた」
必要なものは与えられてきたから生活はできていた。
親からは存在を隠されていたことくらい知っている。
いまだに片桐家に三男がいるということを知らない奴だって多いだろう。
別に構わない…
片桐なんて名前…欲しいとも思わない
「そうやって生活して行く中でいろんなことを知った。俺が見ていたのはいつも暗い部分だ。ほとんど家にいたからかきたねぇところばっかり見てきた。そして学んだんだよ」
信じるだけ無駄だってこと
「人は裏切ってでも自分を守ろうとする。信じた奴が馬鹿を見る。人の力に頼ったらいつかは必ず破滅する。……全ては自分の力だけだってことをな」
「……仁ちゃん」
嶋津の目には同情の色が見える。
それに嘲笑をこぼした。
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